【期間】2012年9月7日~9日
【形態】トレッキング
【山域】北アルプス池巡り
【ルート】新穂高~槍平~南岳~北穂池~北穂東稜のコル~涸沢~屏風ノ頭~上高地
【メンバー】大木場、牧野、柳澤、高橋、恩田(記)
先月の裏剣トレッキングのメンバーに、Tさんが加わり、昨年10月に辿り着けなかった北穂の池と、氷河公園、奥又白池を巡る、北アルプス池巡りツアーが、OHリーダーにより計画され、若干の困難と計画変更はあったものの、今回もすばらしい山行となりました。
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キレット最低コル付近からの南岳南壁 |
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キレット南岳付近からの北穂 |
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屏風ノ耳からの前穂 |
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キレットから笠ヶ岳方面 |
9月7日(金)
先月の裏剣の山行とは異なり、今回は、若干のバリエーション(登攀具を使用しない)が含まれ、私としてはほんの少し不安を抱えながら、新穂高を出発する。昨日、Tさんの出身高校、岐阜県立岐阜高校の温泉付きの寮に泊めてもらうことができ、さわやかな目覚めである。バリエーションルートの不安のことは、ほとんど忘れている。
明日の天気が思わしくなく、予定の双六方面には行かず、槍平から南岳に上がって、大キレットを下り、北穂池に向かうルートを行くことになる。
蒲田川の右股林道を2カ所ショートカットし歩くと、ほどなく穂高平小屋に到着。するといわゆる「山ガール」スタイルの5人組が異なところから出現する。近道があるのだという。昨日は雨で、下で1日停滞していて、これから槍に向かうという。
今は土日しか営業していない穂高平小屋を出発し、奥穂登山口、白出沢、ブドウ谷、チビ谷を過ぎ、滝谷出合に着く。避難小屋は、床下に若干ゴミが散乱していたが、割合ときれい。
出合の河原で大休止となる。出合から谷奥に北穂ドームが望まれる。遠望ながら、スカイラインが美しい。
滝谷出合から槍平に着くと、南岳には水場がないこともあり、本日は槍平に泊まり、明日、南岳に登り、北穂池、東稜越えをする案もあったが、結局は南岳に向かうことになる。
1000mほどの高度差を一気に登っていく。途中で「(あんた方は)こんなところを登るのか。自分は下り専用だ。」と宣いながら下っていく男女二人連れの老輩に会う。
登山道(南岳新道)は、西尾根の途中から稜線直下の斜面に下り、トラバース気味に稜線上の幕場に上がっていく。大岩の「スグソコ」の表示から10分ほどで幕場に着く(この10分は長かった!)。辺りはガスっていて、明日の天気が気になる。雨水が浸入しにくく、防風の岩積みがしっかりしたところに幕を張る。
新穂高 05::30 - 穂高平 06:45 - 白出沢出合 08:00 - 滝谷出合 09:30 - 槍平 10:50 - 2500m付近 14:30 - 南岳幕場 15:50
9月8日(土)
夜明け前、3時過ぎだったか、キジで起き、幕から出ると、何と満天の星空。5時過ぎに幕を撤収し、出発する。幕場の東側に常念平という展望がいい場所があり、その辺りから朝日が顔を出す。
朝日に染まった北穂を眺めながら、キレットを下っていく。このルートは、日本の山岳で一番多くの人が歩いているのではないだろうか。最低コルの手前で後ろを振り返ると、南岳南壁が飛び込んできた。半逆光線のライティングでリッジに光が当たっている。昨年10月横尾本谷右股のカールから見た、南岳南壁がすばらしかったので、稜線上からの南岳は期待してなかったが、半逆光線の効果か、美しい立体感のある南岳が眼前にある。時間が許すならば、この場所にしばらく居たい気分である。
最低のコルから、東面の斜面を下り、北穂池、北穂東稜を越え、涸沢に行く。このルートは、本日というよりは今回の山行の核心部。私は、このルートをよく調べてこなかったことや、ガスっていたこともあり、不安な気持ちを抱えての登降となってしまった。灌木の中の藪こぎは、大変辛く、かつて、霞沢岳から徳本峠への藪こぎで「大ヨレ」をしたことを思い出す。
東稜のコルからは、眼下に涸沢が望まれたが、浮き石だらけのガレを3時間ほどかかって涸沢に下ることになる。ただ、メンバー全員怪我もなく無事通過できたことは大変良かった。特に私としては、昨年の笛吹川鶏冠谷、先月の裏剣の山行に続き、3度目のチョンボをしなくて、ほっとした。
(もっとも、この核心部のルートを下調べもせず、ほとんど不理解であったことが今回のチョンボか!)
涸沢到着は、16時前になり、北尾根五・六ノコル越えの奥又には行かず、涸沢泊となる。涸沢は稜線がすっかりガスで覆われ、明日こそ悪天かなと思いつつ、幕を張る。「明日こそ悪天かな」との思いは、先月の裏剣の山行から継続している。
南岳幕場 05:30 - 最低コル(下降点)06:40 - 東稜乗越 12:50 - 涸沢 15:40
9月9日(日)
昨夜は、時々雨音がしたが、5時前に起き幕から出ると、今日も満天の星空。6月から自分だけの山行も含め、ほぼ好天続き。次の山行でひどい目に遭うのではとの懸念から、下山する今日くらいは悪天でもいいと思ったりもする。
涸沢からは、パノラマコース経由で上高地に下る。メンバー3人だけ屏風ノ耳に上がる。昨年10月に続き、すばらしい展望が広がるこの場所に来ることができた。今山行は悪天を懸念して、双六岳、氷河公園や奥又には行けなかったが、好天でここに来られたことは幸運。昨日の北穂東稜越えのルートが望まれ、カメラに収める。
上高地の林道に下りると、いつもながら、早くバス停に着くことばかり考えるが、この美しい森の道は、本来ゆったりと歩く道ではないか。単にアプローチとして急ぐのはあまりにも「勿体ない」(ワンガリ・マータイさん『MOTTAINAI』ね)。
上高地からメンバー全員タクシーに乗り、車のある新穂高の無料駐車場に行き、帰途に就く。
今回も最後までいい山行ができたことに感謝する。
メンバーの皆さんありがとうございます。
涸沢 07:00 - 屏風ノコル 08:00 - 屏風ノ耳 08:30 09:00 - 屏風ノコル 09:30 - 新村橋 12:00 - 上高地 14:00